◆入門編◆30分で完成!ホットメルトシートと製本テープを使った本の作り方[50枚(100ページ)程度の冊子の製本方法]

初心者向け入門編として原稿50枚100ページ(6ミリ程度)の製本の方法を説明します。
最もシンプルなものを作るために、手に入りやすい材料で、なるべく工程を少なくすることを目指します。

手芸の本で紹介されている本の作り方は、折り丁(おりちょう=紙を折りたたんで作る、綴じる基本単位。これを複数作って綴ることで本の形にする)をつくって糸綴じ(折り丁を糸でつないでいくこと)をするものが多くありますが、この方法ですと、プリンターで印刷した原稿を製本するには、ページの順番を事前に熟慮する必要があり、綴るときの手仕事としても技術が必要です。

そこで、ここでは、初心者でも簡単に製本できるホットメルトと製本テープを使った無線綴じのやり方を紹介したいと思います。

もちろん100ページ以上厚さの原稿の製本もできますが、接着強度を増すために少し工程が増えます。その辺りは文中で随時説明を入れていきたいと思います。

本の各部の名称

製本の用語や本の各部の名前は、昔から呼び習わされた特殊な用語が少なくありません。
馴染みのないものもありますが、作り方を説明する上で用語を使ったほうがスムーズに説明できることも多いため、すべてを覚える必要はありませんが、ひと通り目を通しておいてください。

本の部位の名称(表紙側からみたところ)

表紙側からみた本の部分の名称

本の名称(置いたところ)

本を寝かした状態での各部位の名称

本の名称(本文側から)

本文側から見た本の部分の名称

本の部分の名称(ページ)

ページを開いた状態での各部位の名称

道具

まずは、作るのに必要な道具です。*印以外のものは専用のものでなくても代用可能なものです。
たとえば、製本機は大型のクリップでも何とかできますし、カッティングマットは古雑誌や古新聞でも代用できます。ただし、専用のものを用意したほうが、より簡単に、きれいに仕上がります。
画像はクリックすると大きなサイズで見ることができます。

道具一式

  • 製本機
    本文(ほんもん=束ねた原稿のこと)を束ねて固定します。写真は「とじ助A4サイズ用」です)
    とじ助 A4サイズ
  • 定規*
    カッターあてて紙を切ったり、束厚(原稿の厚さ)を計るときに使います。長いのと短いのの2本あると便利です。カッターを当てるので、金属のもののほうが良いです。
    定規
    定規(拡大)
  • 折りべら
    紙に折り目をつけたり、紙を切るときの目印をつけるために使います。尖った先で紙に印をつけたり、紙の下に差し込んで折り目を立ち上げたり、折り目の上からこすって、折り目をきつくしたりします。
    ここでは彫塑用の木ベラを使っています。
    木べら(左面)
  • ボンド*
    ホットメルトシートに補強和紙を仮止めするときに使います
    ボンド
  • カッター・ハサミ*
    紙やホットメルトシートを切るときに使います
    カッター
  • アイロン*
    ホットメルトシートを溶かして本文の背を接着します。家事用のものでよいですが、小さなもののほうが使い勝手がよいです。
    アイロン
  • カッティングマット
    紙をカッターで切るときに下に敷きます。A3サイズ以上のものが使いやすいです。
    カッティングマット
  • シリコンシート(クッキングシート)*
    アイロンをあてるときにホットメルトシートの上にのせます。市販の料理用のクッキングシートでかまいません。
    シリコンシート
  • ホットメルトシート(リヒトラブ製 A4サイズ)
    熱でとける板状(厚さ0.8mm程度)の樹脂シートです。170度程度で十分な粘着性を発揮しますので、アイロンで溶かして使用します。一般の女性ファッション誌や少年ジャンプなどの雑誌、文庫本などもこの糊(樹脂)で製本されています。
    一旦溶けた糊は温度が下がると固まります。
    背固めはボンドで代用する場合もありますが、ボンドの場合は、ボンドがしっかり固まるまで数時間放置する必要があります。ホットメルトでしたら数分で固まりますので、これを使うことで、面倒な背の加工の工程が劇的に楽になり、製本のスピードが格段に早くなります。裏面が粘着テープになっていて、あらかじめ背に貼ることで、ずれずにアイロンをあてることができます。
    ホットメルトシート
    表面 裏面
    表面は5ミリ単位で点線がついており、裏側は剥離紙をはがすと粘着テープになっています。

材料

  • 原稿(本文=ほんもん)
    入手のしやすさと作業工程を減らすことを優先してA4サイズのコピー用紙を使います。文章がある場合は、事前に印刷しておきます。
    原稿
  • 表紙・裏表紙
    通常ですと、本文より少し厚手で丈夫な紙を使いますが、そうした紙は大抵が4つ切りなどA系のサイズと異なるため、原稿に合わせた裁断が必要となります。
    そうした作業を省くため、ここでは色付きのA4コピー紙を使います。
    表紙、裏表紙
  • 補強和紙
    ホットメルトで背固めをするときに、背割れを防止するために背に貼り付けます。
    障子紙をA4サイズに切ったものを使います。障子紙は高級なものよりも、「破れにくい~」と謳われているようなものの方が強いです。
    補強和紙 補強和紙(拡大)
  • 製本テープ
    本文の背に貼って背を補強・保護します。また、装飾の役目もあります。
    ここでは、すでにA4サイズに切られている35ミリ幅の黒いものを使います。
    色については、ニチバンから出ているものは13色もありますのでお好きな色が選べます。
    製本テープ 製本テープ(35mm)

 

工程

道具と材料が揃ったところで、いざ、製作です。
大まかな作業工程は次のようになります。

  • 本文を固定する
  • ホットメルトシートと補強和紙をカットする
  • 背にアイロンをあてる
  • 平にアイロンをあてる
  • 製本テープを貼る

ここまでで完成ですが、見栄えをよくするなら、さらにひと手間かけます。

  • 製本テープにアイロンをあてる
  • 小口を裁断する

本文を固定する

本文を綴るにはホットメルトで背を糊づけするのですが、その作業の前段階として、作業がしやすいように、ページを順序良く並べて、しっかりと製本機で固定します。

原稿を順に並べる
まずは、表紙→原稿→裏表紙の順に重ねます。
原稿は本になった時にスムーズに読み進められるように閉じ方向も考慮して序良く並べます。

綴じ方向
綴じ方向は、一般に本文が縦書なら右綴じ、横書きなら左綴じとなります。
ここでは、左綴じの製本を行います。

原稿を重ねる
左綴じの場合はこのような重ね方になります。

次に、製本機の本文をセットして紙の天地と背を揃えやすくするために、紙に「風を入れる」という作業をします。これは、紙同士がくっついていると互いの摩擦で紙が揃いにくいので、紙と紙の間に空気をいれてやることを言います。

原稿の左右の端を持つ
本文の端と端を両手でつまみます。

内側に曲げる
両手を内側に絞ります

ぱっと外側に開く
絞った手をパッと外側に開きます。
すると紙の中心部分が膨らんで紙と紙の間に空気が入ります。

風を入れ終わったら本文を固定します。

製本機を開く
製本機のネジをゆるめて逆さに置き、原稿が入る幅に開きます。

片側の溝に足を差し込む
片側の溝に足板を差し込みます

本文をいれる
本文を製本機の間に差し込みます

上からトントンと落とす
上からトントンと落とすようにして背をそろえます

地から押す
横から足板に向かってトントン押すようにして、天地をそろえます。

片手ではさみながらネジをしめる
片手で締め板をしっかり押さえて、もう片方の手でネジを締めます。

もう一方も片手ではさみながらネジをしめる
同様に反対側も、片手でしっかり押さえてもう片方の手でネジを締めます。

もう片方の溝にも足を差し込む
もう一方の足板を溝に差し込みます。

足を押さえながら、ひっくり返す
足板を押さえながら製本機ごとひっくり返します。

固定された本文
このように原稿が固定され、自立した作業台となります。

そろっているか確認する
背の部分がでこぼこしておらず、きれいにそろっていることを確認します。
揃っていないようなら、再び、ネジをゆるめて先ほどの手順で原稿をはさみます。

ホットメルトシートと補強和紙をカットする

本文の厚さ(束厚=つかあつ)を測って、そのサイズでホットメルトシートと補強和紙をカットします。

※本の厚さが6ミリより厚い場合は、背に溝を入れて接着強度を増す必要があります。こちらのハードカバーの本の作り方を参考にしてください

本文の厚さを測ります
束厚をはかります。6ミリです。

ホットメルトシートに印をつけます
ホットメルトシートの端から6ミリのところにカッターで印をつけます。
逆の端にも同様に印をつけます。

ホットメルトシートをカットします
印に定規をあてて、カッターで切り落とします。

6ミリにカットしました
6ミリ幅のホットメルトシートがカット出来ました。

※今回はA4用のホットメルトシートを使っているので長さの方はカットしていません。A4以外の本文の場合は、天地(背)の長さに合わせて適宜カットしてください。

補強和紙に印をつけます
次に、補強和紙をカットします。平側に5ミリ回し込みたいので、
左回り込み(5ミリ)+束厚(6ミリ)+右回り込み(5ミリ)=16
16ミリの幅の短冊を作ります。
補強和紙の端から16ミリのところにカッターで印をつけます。
逆の端にも同様に印をつけます。

補強和紙をカットします
印に定規をあてて、カッターで切り落とします。

16ミリにカットしました
16ミリ幅の短冊が出来ました。切り落とすとこのようになります。

※今回は、A4サイズの補強和紙を使っているので、長さの方はカットしていません。A4以外の本文の場合は、天地(背)の長さに合わせて適宜カットして

カットしたホットメルトシートと補強和紙
これで6ミリ幅のホットメルトシートと、16ミリ幅の補強和紙ができました。
ホットメルトの長さが少し短いのは、アイロンの熱で溶けた時に広がるのでそれを考慮した長さです。

背にアイロンをあてる

ホットメルトシートの剥離紙をはがす
ホットメルトシート裏の剥離紙を剥がします。

背に貼り付ける
背の端に貼り付けます。このとき、端から4ミリ離したところから貼り始めます。(4ミリ離す理由は、ホットメルトシートは熱をかけると溶けて広がるためです。)

背に貼り付け終える
貼り終わった端も4ミリ隙間ができます。これで正しいです。
左右は背からはみ出していないことを確認します。

ボンドをのせる
補強和紙を仮止めするためにボンドを点を打つように塗ります。

ボンドをテンテンとのせる
5センチ程度の間隔でボンドで点を打ちます。

補強和紙をのせる
先ほど切り出した和紙を、背を中心として左右5ミリはみ出るようにのせるように貼り付けます。

補強和紙をのせる2
このようになります。

シリコンシートをカットする
シリコンシートを背の長さより長めに切ります。

シリコンシートをのせる
背に乗せます。

アイロンをあてる
アイロンの温度設定を170度程度(中~高)に温めておいて、シリコンシートの上から背にあてます。
しばらくすると、ホットメルトが溶け始めます。少し溶けて山が潰れたと思ったら、移動します。

アイロンをあてる2
順に移動してホットメルトを溶かしていき、ホットメルトの山がすべてつぶれたら、洋服にアイロンをかけるように左右にすべらせて、最終的には、まっ平らになるようにします。(実際には、補強和紙があるのでまっ平らにはなりません。そういう感覚で。)

あて終わったところ
このまま冷めてホットメルトが固まるまでしばらく置きます。(3分程度)

クッキングシートをはがす
冷めたらシリコンシートを外します。

固まったところ2
補強和紙が羽のようになっていますが、今のところこれで正しいです。

平にアイロンをあてる

足を外す
製本機から両方の足板を外します。

ネジをゆるめる1
片側のネジをゆるめます。

ネジをゆるめる2
もう一方のネジをゆるめます。

製本機から外す
本を抜きます。

外したばかりの背の様子
背はこのように補強和紙が羽のようになっています。

平にシリコンシートをのせる
平を上にして置き、その上にシリコンシートをかぶせます。

背にアイロンをあてる
背に横からアイロンをあてます。

平側に倒す
そのまま、傾けます。

更に平側に倒す
さらに平側に倒します

平アイロンをかける
しばらく平にアイロンをあてます。

平にアイロンをかけ終わったところ
同様にして、補強和紙全体を背から平に回しこんで接着します。
表面、裏面とも行います。

本の形になりました
これで本の形になりました。もう各ページがばらばらになることはありません。

製本テープを貼る

背の補強・保護と装飾のために製本テープを貼ります。

※厚い本を作る場合には、開いた時に背割れが発生しないように厚めの紙で背を補強する必要があります。
ハードカバーの本の作り方または、グルーガンでくるみ製本を参考にして表紙を作ってください。

表紙のついた段階で束厚を測ります
まずは、厚さを測ります。表紙の紙が薄いため、束厚と同じ6ミリでした。

ここから折りべらを使います。折り木べらは先が尖っていて側面の片面は平ら、片面は曲面になっています。尖ったところで紙にすじをつけたり、曲面で折り目をつけたりします。
※折りべらがなくてもボンドについてくるヘラなど代用品で構いません。

木べらの形

6ミリに印をつけます
製本テープの中心(剥離紙の切れ目)から3ミリ(束圧の半分)の端にヘラの尖った方で印をつけます。

反対側も印をつけます
同様に、反対側の端にも印をつけます。

定規をあてて、定規に沿ってすじを付けます
印に定規をあてて、ヘラの平らな面の尖った方で定規に沿ってすじを付けます。

定規を当てたまま、ヘラを下に差し入れます
すじがついたら、定規はあてたままで、ヘラの平らな方を製本テープの下に差し入れて、逆側から筋を入れます。

そのままヘラを立てます
何度か差し入れながら、ヘラを立てるようにしていきます。

何度かやりながらだんだん垂直にします
逆側から見たところです。

逆側から見たところ
だんだん垂直にします。

立ち上がりました
このようにします。

折り曲げて、ヘラの腹でしごいて折り目をきつくします
定規を外して、反対側に折り曲げ、ヘラの腹(膨らんでいる方)でこすります

製本テープ折ったところ(裏)
逆側も同様にして、コの字型にします。

製本テープ折ったところ(表)

表から見るとこのようになります。

※今回は、A4の長さにあらかじめカットされた製本テープを使っていますので、長さの方はカットしていません。A4以外の本文の場合は、天地(背)の長さに合わせて適宜カットしてください。

本に貼り付けます。

剥離紙を剥がします
製本テープの剥離紙の半分を剥がします。

剥離紙を全部剥がしました
片側をはがすとこのようになります。

角を合わせて貼り始めます
角に先ほど折った折り目を合わせるように丁寧に貼り付けます。

片面を貼り付けます
片面を貼り終わりました。

残りの剥離紙を剥がします
残りの剥離紙を剥がします。

全部剥がした
全てはがすとこのようになります。

背に貼り付けます
背に押し付けるようにしながら、貼り付けます。

平側に貼り付けます
表紙側に回しこんで上から押し付けるようにしっかり貼ります。

最後に、全体にしっかり貼り付けたら完成です。おつかれさまでした。
慣れてしまえば30分もかかりません。

完成(表紙)
表紙

完成(裏表紙)
裏表紙

1ページ目
表紙をめくったところ

本文
本文

裏表紙
最終ページ


さらにひと手間

さらにひと手間かけると見栄えがぐっと良くなります。

製本テープにアイロンをあてる

製本テープを貼ったところがデコボコしていたり、背の角が立っていない時に、製本テープを貼ったところに再度アイロンをあてます。

製本テープにシリコンシートをのせます
製本テープ部分にシリコンシートをのせます。

角を作るようにアイロンをあてます
平側からと背側から角を出すようにアイロンをあてます。

裏も同様にあてます
裏側も同様にアイロンをあてます。

角が出来ました
角が出来ました。

小口を裁断する(化粧断ちする)

小口が揃っていない
すべての用紙をA4サイズで統一して製本してもこのように小口が揃わない事があります。

定規をあててカッターで切り落とす
小口に定規をあてて数ミリをカッターで切り落としてそろえます。

徐々に落とす
一度に切ろうとすると余計な力がかかってきれいに切断できなことがあります。定規は動かさないようにして、軽い力で根気よく何度もカッターを滑らすことで徐々に切れてきます。

天も切り落とす
天、地も揃っていないようなら同様に切り落とします。

綺麗になった小口 地もきれい
小口がきっちり揃いました。

これで、立派な本が出来ました。

この他の製本方法についてはこちらをご覧ください。


このページで使われた道具や消耗品はこちらから購入できます → 商品-すべての商品

とじ助の詳しい仕様はこちら↓をご覧ください。

関連商品